バラク・オバマ米新大統領が、1月20日正午過ぎ、連邦議会議事堂前での就任式で宣誓し、第44代大統領に就任した。
ホワイトハウス前には180万人とも200万人ともいわれる人々が集まった。しかも、何日も前からこの日を待ち望んで集まってきた人も多いという。世界大不況といわれる真っ只中で、待ち望んでいた指導者の就任演説である。
さて、地から湧き出すように出現した民衆、そしてそのトイレ対策はどうしたのか?式典会場からパレード沿道の周辺には、大量の仮設トイレが立ち並び、その数は4,100ヵ所以上と発表された。439人に一つのトイレの勘定である。
この日の気温は摂氏マイナス6度に達した。「オバマ新大統領への期待の熱が寒さを吹き飛ばした!」(連邦議事堂に見学に来ていたオバマ支持者)にしても、参加者はかなり厳しい我慢を強いられたはずである。
今から100年前、1910年1月27日「近代トイレの王様」といわれたトーマス・クラッパーがこの世を去った。1848年ロンドンの水道屋からはじまり、水洗トイレの改良型水槽の発明、水栓の漏水防止器の発明等々、生涯をトイレに捧げた衛生技師である。ホワイトハウスでの大統領就任式が無事成功した背景に、クラッパーの果たした貢献は人知れず大きい。
1952年エリザベス2世の戴冠式がウエストミンスター修道院で行われた。その時、大勢の賓客(王族や貴族)のために臨時トイレが並んだのである。しかし、主催側はそれでよし、とはしなかった。
当時の水洗トイレは音が大きかった。「洗浄水自体の音」「便器にほとばしる音」「洗浄の後のゴボゴボ音」「水槽に流入する水のシューシューという音」「水槽の銅管を落ちる放水された水の音(鐘の剥がれた所が鳴るような音)」といった具合だ。
「王冠が女王の頭に載せられようとする最も厳粛な瞬間に、もし、全てのトイレが一斉に水を流したとしたら、その洗浄交響曲は英国王室に多大な汚点を残すことになる」からだ。
そこで、関係者は直ちにウェリントン兵舎の近衛師団五連隊に出動を命じ、「鎖に手をかけろ!」「そのまま待て!」「鎖を引け!」と大勢の兵士たちを使って、音の狂想曲対策を演習したという。
その後、クラッパーたちの努力によって、水洗トイレの音は極めて小さくなるのである。
あなたはトイレを我慢できますか?イエス・ウイ・キャン!?
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