炭鉱の町として知られた福島県いわき市。このいわき市でトイレ管理メンテナンス、
一般廃棄物収集運搬業、浄化槽保守点検業などを60年以上営んでいるのがカンセイなど
を擁するアメニティいわきグループ(3社)だ。
「創業者は父・根本茂の姉の夫だった三田村菊治で、昭和26年に創業したものの昭和
38年に急逝。それで姉を助けるために古河炭鉱の労務課に勤め、その後鮮魚商などをし
ていた父が退職して助けたのです」と話すのは現社長の根本宏(57歳)。
現在、父・茂はグループ3社の取締役会長を務めながら、全国環境整備事業協同組合連
合会などの業界団体、いわき市環境整備事業協同組合や福島県浄化槽協会など地元の役員
として忙しい日々を過ごしている。それだけこの業界と地元のいわきに貢献している企業
なのだ。
そして、アメニティいわきグループの4代目社長として社業の一層の発展に努めている
のが根本宏だ。地元の高校を卒業後に大学進学のために東京の予備校に通っていたもの
の、勉強に身が入らない根本に「2年間黙っていた父から『十分に遊ばせただろう。戻っ
てきてしっかり家業を継いでほしい』と呼び戻された」と笑って話す。
最初は廃棄物収集運搬業の中でも一番ハードルが高い一般し尿収集から取り組んだ根本
は、1984年5月30日、23歳になる前日にカンセイの代表取締役社長に就任。
トイレの精密清掃、配水管の詰まりや高圧洗浄、芳香剤脱臭剤などの工業製品の販売な
ど、トイレの予防型メンテナンスのフランチャイズ(FC)本部のアメニティ(本社・横
浜市、山戸里志社長)の業務と一部重なる事業を行っていたカンセイだが、「市立病院や
役所など大きなクライアントを持ちながら、自分が業務をやれば間違いないが、従業員に
任せると技術やノウハウに不安があった。
神奈川にいた弟が『アメニティネットワーク』の本部と交流していたものの、FC加盟す
る決心がつかなくて…‥」(根本)。それが、2005年秋にアメニティ本部がいわき市
内の病院の仕事を受注した際に、「一緒にやりませんか」と背中を押してくれ、同年12
月にFC加盟契約を締結、アメニティカンセイが発足した。
「独自の営業展開に限界を感じていた時で、工事に同行していただいた若い本部社員の技
術力の確かさに、我が社もこの技術力を取り入れていきたい」と強く感じたスタートだっ
た。
(つづく)
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